ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
私の問いかけに
智可は暫く何も答えなかった。
「智可、何を知ってるの?
答えて!!」
『美羅…ごめん。
私…お兄ちゃんに、口止めされてて…』
「何それ?
ちゃんと説明して!!」
私が興奮して怒鳴ると
智可は、とても小さな声で話し出した。
・・・
私が卒業式に出る為
下宿に戻った次の日
聖斗は理絵さんを連れて
智可の実家の病院にやって来た…
理恵さんを診察したのは
雅史さん。
結果は、妊娠5ヶ月…
理絵さんは、とても喜んでいたが
聖斗は呆然としていたそうだ。
実は、雅史さんは
理絵さんが妊娠してるのを
薄々気付いていた。
数ヶ月前から
理絵さんから相談を受けていたんだ…
突然、会ってくれなくなった聖斗に
なんとしても会いたいと…
とても大切な話しがあると…
智可と雅史さんが
2人で遊びに来た時
雅史さんは、そのことを言うつもりで来た。
でも、私と付き合ってるって知って
何も言えなかったそうだ。
『昨日、お兄ちゃんは
聖斗君と理絵さんをよんで
2人の気持ちを聞いたんだよ』
「聖斗は…なんて言ったの?」
『…聖斗君は
産まれてくる子の面倒は見るって…
あのね…美羅
5ヶ月を過ぎると
中絶は…無理で…
早産させる方法になっちゃう…
でも、それは母体にもリスクが…
だから、仕方な…』
「もういい!!」
『美羅…』
「もういよ!!
皆して私を騙してたんだ…
智可まで…
親友だと思ってたのに…」
私は携帯を切ると
泣きながら走った。
遠くへ行きたい…
聖斗と理絵さんの居る家から
なるべく遠い所へ…
出来るものなら
このまま消えてしまいたかった…