ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
「ただいま」
「お帰りなさーい!!」
テンションの高い私に
黒木さんは、少々引き気味。
「何?どうしたの?」
「今日はね、私が夕飯作ったの
黒木さん、ここに座って!」
「あ、あぁ…」
食卓に着いた黒木さんの前に、フライパンを置くと
彼は驚いた様に
私を見つめる。
「これは…?」
「すき焼きだよ。
お給料貰ったから奮発しちゃった。
食べて!!」
喜んでもらえると思ったのに…
黒木さんは、困惑した表情で
中々、箸を持とうとしない。
「黒木さ…ん?」
「…みわちゃん
君の気持は、凄く嬉しいよ…
でも、こんなことは、これが最後にしてくれないかな…」
「えっ…どうして?」
黒木さんは、やっと箸を持つと
肉を避け
野菜ばかりを取り皿に入れる。
「僕は、こんな贅沢慣れてないだ。
肉はみわちゃんが食べなさい」
「肉、嫌いなの?」
「そうじゃないけど…」
なんか、ヤなムード。
せっかく一生懸命作ったのに…
どうしてなの?
余り会話もないまま食事を済ませ
洗い物をして
黒木さんの居る和室に行くと
彼は、ぼんやりテレビを見てた。
プレゼント、どうしよう…
また、迷惑って顔されたら、ショックだな…
でも、黒木さんの為に買ったんだもん。
借りた2万円も返したい。
私は彼の横に、そっとプレゼントと
2万円の入った封筒を置いた。
「あの…これ、お礼なの。
貰ってくれる?」
「んっ?」
「お願い。いらないなんて言わないで…
私の気持ちだから…」
「みわちゃん…」
この時の私は、きっと必死な顔してたんだと思う…
黒木さんは、私に気遣う様に
プレゼントの包みを開けると
中身を確認し、顔を上げた。
「僕に?」
「うん」
「そうか…ありがとう。
プレゼントなんて貰ったことないから驚いたよ」
ニッコリ笑った黒木さんを見て
ホッとして体の力が抜けた…
「ねぇ、黒木さん。
一つ、聞いてもいい?」