ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「みらぁー、おめでとう!!
すっごく綺麗だよー」


花嫁控え室
親友の恵美里と智可が
潤んだ瞳で私の手を握る。


「ありがとう…」 

「でも、なんだよねー…
イヴに結婚式なんて
彼氏の居ない私に
ケンカうってるの?って言いたいよ…」


恵美里がふて腐れた表情で呟くと…


「何言ってんの!
私なんか
彼氏と過ごそうと思ってたのに
美羅の結婚式で
一緒に居られないんだから!!」


智可がそう言いながら
私の肩をポンと叩く。


「ごめんね…」

「嘘、嘘。冗談だって!!
でも…良かったね…美羅
これからは
クリスマスが美羅にとって
幸せな日になるんだよね」

「うん…」

「で、入籍は?」

「ここに来る前に
彼と2人で市役所行ってきた」

「…そっか」


智可の表情が
ほんの一瞬だけど
暗く沈んだ様に見えた。



チャペルで待ってるからと
笑顔で控え室を出て行く2人を見送ると


鏡に映る
ウディングドレス姿の自分を
複雑な思いで見つめる。


子供の頃の夢…

"お嫁さんになること"


幼い頃から
憧れていたその姿を
見せたかった人は…


今は、もういない…





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