ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
「えっ…製薬会社、辞めたの?
伯母さんの反対を押し切って
入った会社なのに…どうして?」
「まぁ、色々あってな…
そんなことより
美羅のことだ」
優斗は怖い顔して
私に帰るようにと迫る。
でも、私は帰らないと言い張り
2人の会話は平行線。
暫くの間
押し問答が続く
「まったく…頑固なヤツだ…
参ったな…」
そう言うと優斗は
顔をしかめた。
「子供だって思ってた美羅から
男の話し聞かされるなんてな…
ちょっと、ショックだよ」
「私だって、もう22歳だよ。
いつまでも子供じゃない。
好きな人だって出来るよ」
「そうか…
本当に戻る気は無いのか?」
「無い」
即答した私を
優斗は困った顔で見つめ
大きな溜息を洩らす。
「今は何を言っても無駄な様だな…
でもな、美羅
このままって訳にはいかないよ。
美羅も良く考えるんだ。
大人なら、大人のケジメは
ちゃんとつけるんだ」
「ケジメ?」
「あぁ、一週間だけ待ってやる。
一度、家に帰って
母さんたちに話しをするんだ。
俺が今日、ここに来たのは誰も知らない。
間違いだったら
母さんがまた、落ち込むと思ったから
黙って来たんだ…
美羅は居なくなるし
聖斗はとんでもないことしでかしてくれるし…
母さん、大分まいってる」
「伯母さんが…?」
伯母さんのこと言われると辛い…
「美羅は知らないと思うけど
聖斗の彼女が妊娠してな…
ゴタゴタしてるんだ…」
「……」
胸がズキンと痛んだ。
聞きたいけど、聞きたくない…
目を伏せた私の顔を覗き込んだ優斗が
不思議そうに呟く。
「驚かないのか?」
「え…何が?」
「聖斗の彼女が妊娠したってこと…
俺は、その話し聞いた時
腰が抜けそうだったぞ」