ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
優斗との約束の日まで
後、3日。
黒木さんには家に電話したことは言ったけど
優斗が『シャルム』に来たことは言えなかった。
だって、そんなこと言ったら
黒木さんのことだ
やっぱり、家に帰った方がいいなんて
言いだしそうで、怖かった…
今の生活は、私にとって凄く大切で
壊したくなかったんだ…
「みわちゃん、お風呂に入っておいで
布団敷いてくから」
「うん」
いつもも通り…
変わりない日常。
これが、一番の幸せだと
この時の私は思ってた。
ゆっくりお風呂に浸かり
30分ほどして和室に戻ると
テレビもつけず
頭を抱え、座り込んでる黒木さんが居た。
その大きな背中から漂ってくる
重苦しい空気
私は声を掛けることさえ躊躇してしまった。
どうしたんだろう…
もしかして、どっか悪いとか?
「黒木さん?」
探る様に声を掛けると
彼の体が、ビクリと弾んだ。
「み…わちゃん…」
「どうしたの?何かあった?」
「あ、いや…別に何も無いよ…
あぁ、そうだ。
布団敷かなきゃね!ゴメン、ゴメン」
嘘だ…
黒木さん、何か隠してる…
でも、布団を敷き終わると
私の問いかけに曖昧な返事を返し
疲れたからもう寝ると
布団にもぐり込み
私に背を向けてしまった。
次の日は、朝早くから起き
朝食も取らずに出かけるとか言い出すし
行き先を聞いても
言葉を濁すのみ。
黒木さん
どうしちゃったの?
・
・
・
そして、お昼過ぎ
黒木さんは神妙な顔をして帰って来た。
「みわちゃん、話しがあるんだ…
ここに座ってくれないか…」
穏やかな日々は
終わろうとしていた…