ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「あぁ…」


ドアの前に立ち
居心地悪そうに部屋を眺めてる優斗。


私がベットの上にチョコンと座り
「入っていいよ」と言うと
優斗は照れ笑いを浮かべながら
ベットの隅に腰を下ろした。


「女性の部屋って
なんか、入るの抵抗あるんだよな…」


あ…
優斗は私の部屋に入ったことなかったかも…


「どうだ?
少しは落ち着いたか?」

「うん…少しはね」

「そうか…
美羅にも、事情はあったんだよな。
無理に連れ戻して悪かったよ。

でも母さんが、あんな状態だったから
勘弁してくれ」

「分かってるよ。
優斗にも迷惑掛けちゃって…
ごめんね」


優斗は昔から優しい
いつも私の味方だった。


子供の頃
聖斗に意地悪されて泣かされると
決まって優斗が慰めてくれてたよね…


あの時の優斗は
とても頼もしくて
私の憧れだった…


「あの…うん。
その…なんだ…」

「何?」

「あ、だから…
美羅も悩みとか、あるんじゃないかなってさ」


そう言いながらも優斗の視線は定まらず
目が泳いでる。


「やだ!優斗ったら
何、キョドってんの?」

「だからー…
女性の部屋は苦手なんだって…」


私から目を逸らし
ポリポリ頭を掻きながら
そう言う優斗が微笑ましくて
ちょっと、笑ってしまった。


「つい、この前まで
私のこと子供だって言ってたくせに」

「うん…まぁ、そうだけど…
とにかく、なんかあったら言っておいで
相談にのるから」

「うん、ありがと。
でも優斗ったら、どうしたの?
急にそんなこと言って」

「…昔は、なんでも俺に話してくれてただろ?」

「そうだけど…
でも、もう私、子供じゃないし…」


優斗は、苦笑いを浮かべ
困った顔してる。





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