ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
「ダメだよ!私が行く。
昨夜、黙って帰って来ちゃったし
伯母さん心配してるかもしれない」
「いいから…
美羅は家に居ろ!!」
「……」
やっぱり…なんか、おかしい
「じゃあ、俺
病院行くから…」
そう言って、立ち上がった聖斗は
急ぎ足で玄関へと歩いて行く。
「待って!聖斗」
聖斗を追って、玄関に走る。
玄関の扉を開けた聖斗の腕を掴もうとしたけど
聖斗と入れ違いに入って来た人に
家の中に押し戻された。
「宅急便でーす」
「あ…」
聖斗が行っちゃう…
「せぇーとぉー!!」
大声を張り上げると
聖斗が歩みを止め
振り返った。
ニッコリ笑う聖斗
でも…
その笑顔は、今まで見たことないくらい
寂しそうで、悲しそうで…
彼を引き止める言葉さえ
呑み込んでしまうほどだった…
この時
その、哀愁に満ちた笑顔のワケを知っていたなら
私は、あなたを行かせただろうか…
「あの~…ハンコ、下さい」
「あ、はい…」
印鑑を押し
受け取ったのは、大きな段ボール箱
「美羅?荷物か?」
「うん」
ヒョッコリ顔を出した優斗が「誰から?」と
貼り付けてある伝票を、覗き込む。
「あっ…」
「えっ?何?」
「これ…あの人じゃないのか?」
「あの人?」
差出人の名前
それは、『黒木満』だった。
「黒木…さん?」
どうして…
まさか、この中身って…
急いで箱を開けると
中には私の服や靴
黒木さんのアパートで使ってた備品が
ギッシリ詰め込まれていた。
「なぜ…?」