ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
「黒木さんのことだろ?
そんなすぐに忘れるなんて出来ないよな…
元はと言えば
俺が引き裂いたみたいなもんだ。
すまない…」
「ああぁぁ…」
優斗、完璧に勘違いしてる。
「思い出したんだろ?
彼のこと…
ついさっきのことだもんな
だから無理して病院なんて行くことなかったんだよ」
「あ、う…ん」
話すタイミングを、完全に失った…
私をベットに座らせると
優斗も隣に座り
そっと肩を引き寄せられる。
「俺な、美羅のことは
可愛い妹だって、ずっと思ってきた。
俺の中で美羅は
泣き虫で甘えん坊って、イメージしかなかった。
でも、美羅を迎えに喫茶店へ行った時
久しぶりに見た美羅が
一人の女性に見えた。
自分でも、よく分からない感情で…
でも、気付いたんだ。
俺、美羅が…
美羅のことが…
きっと、好きなんだ。
女として、好きなんだ」
「優斗…」
「好き…なんだよ」
真剣で、真っ直ぐな瞳に
心臓がドクンと音をたてる。
「俺じゃ、ダメか?」
「そんなこと…」
「ゆっくりでいいから…だから…」
涙で濡れた頬に纏わりつく
私の髪をかき上げ
顎に添えられた指
その指に持ち上げられた顔が
すぐそこにある優斗の顔へと近づいていく…
これって…
「美羅は、俺が守るから…」
軽く触れた優斗の唇
それは、なぜか懐かしい感覚だった。
途切れることなく重なる唇が
私の体に刻まれた記憶を蘇らせる。
似てる…
聖斗のキスと、似てる…
柔らかい唇
舌の動き
息継ぎのタイミング
そして、なにより
キスしながら
時折、私を見つめる
その瞳…
聖斗…
私は、なんて残酷な女なんだろう…
優斗を
聖斗とダブらせている?
「俺の美羅になってくれるね?」
「うん…」
この返事は
誰に対してのものだったのかな…
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優斗…?
それとも…