ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
「優斗となら…
幸せになれると思う…」
そう答えるしかなかった…
「…そうか…
美羅が幸せになるなら…」
「なるよ!!
きっと優斗が、私を幸せにしてくれる」
ムキになって声を荒げる私を
聖斗は寂しそうな目で見つめていた。
違うのに…
私の幸せは、聖斗…
あなたと居ることなのに…
今すぐにでも
その胸に飛び込んでしまいたいという衝動を
必死で抑える。
カチャ…
リビングのドアが開いた。
「理絵…」
「聖ちゃん、お義母さんもう帰って来るんでしょ?」
そう言いながら
顔色の悪い理絵さんが
大きなお腹をさすり
ゆっくりリビングに入って来る。
「あぁ、調子悪いなら
まだ寝てろ。
無理することねぇよ」
聖斗に支えられながら
ソファーに腰を下ろした理絵さんは
「うぅん。そういうワケにはいかないよ」
と、しおらしく首を振った。
「せっかく家族で退院祝いするのに
私が顔を出さないなんて…
私は聖ちゃんの奥さんなんだよ。
大原家の一員なんだから」
聖斗の肩に頭を乗せながら
私の顔を凝視する理絵さん。
大原家の一員…
私のこと、家族じゃないって言いたいのかな…
「でも、驚いたよね。聖ちゃん
美羅ちゃんがお義兄さんと付き合ってたなんて」
「あ、あぁ…」
「小さい頃から一緒に住んでて
兄妹みたいに育った人と
えっちするなんて
どんな気持ちなの?
美羅ちゃん」
「えっ?」
「ふふふ…
もちろん、もうシてるんでしょ?
でも、美羅ちゃんて清純そうに見えて
結構、やり手なのね。
他の人と同棲してたと思ったら
いつの間にか
お義兄さんとだもん。
どうやったら
そんなに男をたぶらかすことできるんだろー
教えてもらいたいわ」
「よせ!理絵
なんだ、その言い方!」
「あら?
どうして聖ちゃんが怒るの?
聖ちゃんは、美羅ちゃんのことになると
ムキになるのよねー
どうしてかな?」