ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
「バカバカしい…
いい加減にしろ」
これは、理絵さんが
私と聖斗に対して
釘を刺したかったのかもしれない。
これ以上
関わるなと…
兄妹同然の私と優斗が
男女の関係になったことへの疑問も
実は、聖斗とのことを
遠まわしに言いたかったのかもしれない。
「ただいまー!帰ったよー」
帰って来た伯父さんの嬉しそうな声に
私と聖斗は救われた。
「お帰りなさい」
「まぁ、皆居てくれたのね。
心配掛けてごめんなさい」
伯母さん、元気そうだ。
「美羅ちゃん、優斗。
そこに並んでみて」
「えっ?」
「いいから!
病院じゃ、2人一緒のとこ見たことなかったでしょ。
ほら、仲のいいとこ見せてちょうだい」
「…伯母さん」
照れながらも
私の肩を抱く優斗。
「まぁ!!
すっごく、お似合いよ。
良かった…本当に、良かった」
伯母さんの喜ぶ顔が見れて
少し恩返しが出来た様な気がした。
退院祝いの食事会が始まり
私は慌ただしく
キッチンとリビングを行き来していると
また、伯母さんが私を呼ぶ。
「何?」
「ねぇ、美羅ちゃんと優斗は
まだ付き合って間もないけど
結婚のこと、真剣に考えてくれない?
弟の聖斗が先に結婚しちゃったから
親としては心配なのよ」
「あ、でも…」
すると優斗が
「別に俺は焦ってなんかないよ。
せっかちだな、母さん」
と、笑う。
「でもね~一応、長男なんだし…
早く身を固めて安心させて欲しいのよ。
相手が美羅ちゃんなら大歓迎
私たちはいつでもいいのよ」
伯母さんと伯父さんは
顔を見合わせ
頷き合ってる。
「参ったな…」
はにかみながら笑う優斗越しに
険しい顔の聖斗が見えた。