ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「母さんには、あんなこと言ったけど
俺は美羅と結婚してもいいと思ってる」

「えっ!!」


絶句する私を
優斗は更に強く抱きしめ
「愛してるよ」と耳元と囁いた。


結婚…?

私と優斗が…結婚…


「すぐに返事しなくていい。
美羅が、そうしたいって思うまで待つから…
俺の気持ちだけ伝えておく」

「優斗…」


なんだか怖い…


本当に、このまま優斗と付き合ってて、いいんだろうか?


自分でも理解し難い
中途半端な気持ちで
優斗のプロポーズを受け入れることが
許されるのか…

私は困惑してた。







その答えを出せないまま
梅雨は終わりを告げ
季節は初夏


7月中旬


聖斗が臨月の理絵さんを連れて
家に帰って来た。


理絵さんの両親が
遠方の親せきの葬儀に出かけるらしく
家に一人になる理絵さんを心配した聖斗が
この家に彼女を泊めて欲しいと言ってきたんだ。


「理絵さん、自分の家だと思ってゆっくりしてね」


すっかり元気になった伯母さんは
嬉しそうに理絵さんの手を握る。


「有難うございます。
お世話になります」

「もうすぐ産まれてくるのねー
聖斗と理絵さん
どっちに似てるのかしら?」


目を細め
理絵さんのお腹を撫でる伯母さん。


「もちろん、聖ちゃんに似た子ですよ」

「まっ!!理絵さんたら」


なんて良くできたお嫁さんなんだろう…
伯母さんの喜ぶツボを
しっかり押さえてる。


私は理絵さんと関わりたくなくて
早々に部屋へと戻った。


今日は優斗、友達と飲みに行くって言ってたな…


久しぶりに自分の部屋で過ごす夜


私は、クローゼットから
あのドールハウスを取りだした。


誰も居ない時
こっそり納戸から持ってきて
そのままになってた。




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