ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

ドールハウスを床に置くと
ホコリを掃い、扉を開ける。


中に転がってた3体のウサギを
綺麗に整列させ
ピンクウサギの横に
黒木さんから渡された
あの、ブルーのウサギを並べた。


やっと恋人に会えたね。
良かったね…


2体のウサギを眺めていると
この子たちが羨ましく思えてくる。


本当に好きな人が隣に居る喜び
私には、もう叶わぬ願いだ…


すると誰かが部屋のドアをノックする。


こんなに早く優斗が帰って来るはずない。
誰だろうと、ゆっくりドアを開けると
そこに立っていたのは
意外にも、理絵さんだった。


「ちょっといい?」

「あ、はい」


物珍しそうに私の部屋を見渡すと
ズカズカと中に入って来て
勝手にベットに座る。


「ふ~ん…地味な部屋ね。
聖ちゃんはこの部屋、入ったことあるんでしょ?」

「えっ、えぇ…
子供の頃、何度か…」

「子供の頃ねぇー」


意味深なを笑みを浮かべ
視線を落とすと
「ここに寝たことは?」
と、ベットを指差す。


「聖斗が?」

「そう!聖ちゃんがこのベットに寝たことあるか聞いてんのよ」

「そんな…無いです」

「へぇ~、そう?
自分の周りの男は、みーんな誘惑してると思ったのに
聖ちゃんには色目使ってないの?」


理絵さんの表情が
徐々に険しくなっていく…


「ホントのこと言いなさいよ!!
聖ちゃんと寝たんでしょ!!」


言えない…
そのことは、絶対に言えない…


私は思いっきり首を振った。


「嘘つくんじゃないよ!!」


興奮した理絵さんが立ち上がり
私に迫ってくる。


「嘘じゃない…」

「2人の態度見てれば分かるんだよ!!」


大きなお腹のせいで、足元が見えなかったのか
床に置いてあったドールハウスに躓き
理絵さんがフラついた。


「痛っつ!何これ?
ガキじゃあるまいし
まだこんなモンで遊んでるワケ?
バッカじゃないの?」


理絵さんが
力任せにドールハウスを蹴飛ばした…


「や、やめてぇーー!!」



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