ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
床を転がるドールハウスを追いかけ
必死で抱きかかえる。
「はぁ?こんな物が、そんなに大事なの?
呆れた…
ふん!こんな物…」
振り向いた私の目に映ったのは
あのブルーのウサギを踏みつけようとしてる
理絵さんの姿だった。
「ダメーー!!」
慌てて手を伸ばし
ウサギを掴んだ時
理絵さんの足が私の手を踏んだ。
痛い!!
私が手を引っ込めた瞬間
今度は理絵さんがバランスを崩し
背中から、ゆっくり倒れていく…
「きゃぁーーーっ」
「あっ!理絵さん…」
急いで彼女のスカートを掴んだけど
遅かった…
理絵さんは鈍い音をたて
床に転がり
お腹を抱えうめき声を上げる。
「ああぁぁ…、うぅっ…」
「理絵…さん?理絵さん?
大丈夫?」
「お腹が…痛い…
赤ちゃんが…」
どうしよう…
顔面蒼白で苦しそうな理絵さん
私は慌てて階段まで走ると
大声で叫んだ。
「誰かー誰か来てぇー
理絵さんが…聖斗ぉー」
私の声に驚いた
聖斗、そして伯母さん伯父さんが
階段を駆け上がって来る。
「どうした?」
「理絵さんが転んで…
凄く苦しそう…」
聖斗の顔色が変わった。
「理絵はどこだ?」
「私の…部屋」
「美羅の?」
一瞬、聖斗の動きが止まった。
でもすぐに、私の部屋へと走り出す。
私が部屋に戻ると
聖斗は理絵さんを抱きかかえ
彼女のお腹をさすっていた。
「救急車だ!救急車を呼んでくれ!」
聖斗の叫びにも似た声…
伯母さんと伯父さんが「電話してくる」と
部屋を飛び出す。
「どうしてだ?
何があった?」
聖斗が入口に立ってる私に視線を向けた。
「あ、あの…」
私が話そうとした時
理絵さんが泣きじゃくりながら
私を指差し、叫んだ。
「この子のせいよ!!
私のこと、突き飛ばしたんだから!!」