ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
「…ありがとう。聖斗」
笑顔の聖斗に
私も笑顔で答えた。
でも、この笑顔の裏に
どれほどの悲しみが隠れているのかなんて
誰も知らない…
それから伯母さんを中心に
私と優斗の結婚話しで盛り上がり
リビングは和やかムード
「それで、いつ結婚するの?」
「…まだ、そこまでは…」
「そうだよ。母さん
やっと昨夜返事貰ったんだ。
何も決めてないって」
「あら、そうなの?
でも理絵さんの出産もあるし
少し落ち着いた頃がいいかもね。
これから忙しくなるわよ!
ふふふ…楽しみね」
話題の中心に居るのに
なんだか自分のことじゃないみたい…
まるで他人事のよう
あんなに私を毛嫌いしてた理絵さんまでもが
笑顔で「おめでとう」と、言ってくれる。
彼女の場合
私と聖斗の疑いが晴れ
目ざわりな私が優斗と結婚することが
何より嬉しいんだろう。
「あら?もうこんな時間。
あなた達、仕事行く準備しなさい」
「そうだった。
父さん1人じゃ大変だからな…」
優斗は慌てて立ち上がると
「行ってくる」と私に笑いかけ
リビングを後にする。
「聖斗は理絵さんを家に送ってから薬局に行きなさい。
あちらのご両親に宜しくね」
「あぁ」
聖斗と理絵さんがリビングを出るのを待って
私も立ち上がった。
2階に戻ろう…
なんか、疲れた…
リビングのドアを開けると
もう家を出たと思ってた聖斗たちが
まだ玄関に居て
聖斗がお腹の大きい理絵さんに
靴を履かせてあげていた。
嫌なモノ見ちゃった…
聖斗のそんな姿
見たくなかった…
情けないよ…聖斗
苛立ちと嫉妬で
私は2人に何も言わず
階段を駆け上がる。
自分の部屋に戻ると
ベットに倒れ込み
唇を噛みしめた。
嫌だ…
何も考えたくない…