ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

席に座った途端
もう、心臓がバクバクしだす。


京子さんはと言うと
涼しい顔で、次から次へと料理を注文してる。


オーダーを済ませ
2人っきりになると
急に真顔になった京子さんが
「そんなに緊張すること?」
と、タバコに火を点けながら
私をチラッと見た。


「うん…
言いそびれちゃって…
今更、どんな顔していいか分かんない…」

「あの時は、あんなに喜んでいたのにね…
私は美羅と聖斗が一緒になると思ってたよ」


京子さんがため息を漏らした時
個室の戸が
静かに開いた。


「…美羅?
お前も来てたのか…」

「聖斗…」


これから何を聞かされるか知らない聖斗は
機嫌良く
私と京子さんの前に座る。


料理が運ばれてきて
ワインで乾杯


「まあ、取りあえず食べましょう。
聖斗もお腹すいてるでしょ
話しは、それから…」

「話し…?」

「いいから、いいから。
ほら、私のおごりだから
遠慮しないで食べなさい」

「あ、あぁ…」


不思議そうに首を傾げながらも
聖斗はテーブル一杯に並んだ料理に
舌鼓を打ち
「久しぶりに飯食ったって、感じだ」と
嬉しそう。


「何それ?
嫁は料理しないの?」

「まぁ…、子供が居たら
色々と大変なんだよ…
簡単に済ませてる」


京子さんの眉が、ピクリと動いた。


「そんな女と、よく結婚する気になったね…
美羅を諦めてまで一緒になる価値の有る女だったのかい?」

「……!?」


絶句する聖斗


「聖斗、今から話すことは
全て事実、本当のことだよ。
心して聞きな!!」


そして
京子さんは、あのことを聖斗に話したんだ…


聖斗はママの子供ではなく
私とは兄妹なんかじゃないと…


聖斗は瞬きすることも忘れた様に
京子さんの話しに聞き入っていた。



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