ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

私が…憎い?


「…兄妹だと思ったから
美羅の幸せだけを願って
お前を諦めた…

だから…
俺は、これからの人生捨てるつもりで
理絵と結婚したんだ…」

「人生を…捨てる?」

「そうだろ?
本当に好きな女を他の男にくれてやるんだぞ!
そして…
好きでもない女と
一生、暮らしていかなきゃいけねぇんだ。

人生捨てる覚悟でもしねぇと
そんなこと出来ねぇだろ?」

「あぁぁ…」


聖斗の覚悟は
私が想像してたより
ずっと、辛く苦しいモノだったんだ…


苦渋の決断だったんだ…


真近にある聖斗の顔を
責苦に苛まれながら見つめることしか出来ない私。


「聖斗、もうそれ位にしときな。
辛かったのは
美羅だって同じだよ。

アンタと兄妹じゃないって知った時の美羅の笑顔
そりゃあ、いい笑顔だった。

アンタが嫁とイチャついてたから
美羅も言いそびれたんだ。
そもそも、妊娠させる様なことした聖斗が悪いんじゃないの?」


私をかばってくれた京子さんに
聖斗は容赦ない言葉を吐く


「京子さんは黙っててくれ!
これは、俺と美羅の問題だ」

「聖斗…」

「美羅、お前のこと
ずっと忘れないって言ったこと
撤回する。

もう、お前のことは
忘れる。

兄貴でも、誰でも
勝手に結婚しちまえよ!
美羅に比べたら
素直に俺のこと好きだって言ってくれる理絵の方が
よっぽど可愛いよな!」

「いい加減にしな!聖斗」


怒鳴る京子さんに目もくれず
聖斗は部屋を飛び出して行った。


「せい…と…」


私、完全に嫌われたんだ…
もう…ホントに終わり

そう思った時には既に
私の頬は涙で濡れていて
取り返しのつかない現実に
心が震えていた。


かろうじて灯っていた
私と聖斗の愛の炎は
今、確かに消えた


目の前には
漆黒の闇が広がっていた…

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