ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
理絵さんの疑いの眼差しに脅えながら
私は首を振った。
「違う…優斗に…
優斗に会いに来たの」
「お義兄さんに?」
「…そう、でも仕事中だから
悪いかなって思って…」
すると理絵さんは
私を小馬鹿にしたようにクスリと笑うと
「変なとこで遠慮するのねぇ~
別に、いいんじゃないの?
私も聖ちゃんに呼ばれて来たんだし」
と、得意げに鼻を鳴らす。
「聖斗に?」
「ええ。
お昼ご飯一緒に食べようって電話あったのよ。
もう、聖ちゃんたら
少しでも私の傍に居たいみたいで困っちゃう
なんなら
美羅ちゃんとお義兄さんも
一緒にご飯食べる?」
「あ、いえ…私は…」
理絵さん、何考えてんだろう…
やんわり断ったつもりだったのに
理絵さんは
「いいじゃない。行こう!」
と、私の腕を掴み強引に歩き出す。
「り、理絵さん…」
薬局のドアを開け
優斗を見つけると
一緒に食事に行こうと誘ってる。
突然の私の訪問に驚きながらも
優斗は嬉しそう。
でも…
聖斗は不機嫌な顔して
黙々と仕事をしていた。
どうして、こうなるのかな…
伯父さんの「行っておいで」の言葉に押され
私たち4人は
近くのうどん屋さんに入ると
座敷のテーブルに席に腰をおろす。
「でも、どうしたの?
美羅が来るなんて、ビックリしたよ」
「うん…あのね、ちょっと優斗に相談があって…」
苦し紛れに嘘をつく
聖斗はまだ、一度も私を見てくれてない。
私の存在など無いかの様に
瑠菜ちゃんを抱き
嬉しそうにあやしてる。
「相談って、何?」
「あ、…ドレス…結婚式のドレスのことなんだけど…
この前選んだやつ
なんだか子供っぽい気がして…
選び直そうかなって…
優斗は、どう思う?」
なんて、下手な嘘…
自分でも呆れてしまう。
「それを、わざわざ聞くのに
ここまで来たの?」
「うん…」
普通、そう思うよね…