ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

この時、初めて伯父さんを
"お父さん"と呼び
伯父さんの腕に
私の腕を絡めた。


そして、パイプオルガンの音が鳴りだしたのと同時に
重い扉が開き
眩い光が目の前に広がる。


十字架の前で
緊張気味に優しく微笑む優斗


深紅の絨毯を踏みしめ
一歩、また一歩と
その笑顔に近づいて行く…


でも…
その、優しい眼差しとは別に
私の体を貫く様な鋭い視線に
思わず足が止まりそうにになった…


聖斗…


そして、交わることが許されないない
その視線を感じながら
優斗の横に立ち
彼の腕に手をまわす。


「美羅…
最高に綺麗だ」


耳元で囁かれた甘い声に
私の瞳は涙で潤む


一段高い場所に優斗と並んで立つと
神父様の穏やかな声が響き
静まり返ったチャペルに厳かな空気が流れた。


讃美歌の合唱が終わると
誓いの言葉…


優斗が神父様の問いかけに
答えると
今度は私の番だ。


「汝、この者を夫とし
富める時も、貧しき時も
健康な時も、病める時も…
変わらぬ愛を誓うか…」


向き合った優斗の顔へと視線を上げ
誓いの言葉を口にしようとした時
私の視界には
あなたが…
聖斗が…


交わってはいけない視線が
絡みつく様に交差した。


その瞬間、私の心の炎が燃え上がった…


神様…
これからの私の人生
どんなに辛くてもかまいません。


どうか、この誓いの言葉は
聖斗に…聖斗に向けて言わせて下さい…


例え、この身が滅んで
あの世で地獄の炎に焼かれても
何万本もの剣に魂を貫かれても
この誓いの言葉を偽りのモノにはしたくないの


この世では
二度と愛を育むことなど出来ない私たちだけど…
別々の人と添い遂げる運命だけど…


十字架に嘘は誓えない…


聖斗には、私のこと忘れると言われた。
嫌われたことは分かってる。


でも、最後に一度だけ
我がまま言わせて…







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