ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
次の日の夜
京子さんがマンションに来た。
京子さんが何を言いたいのか
そんなこと、分かり切っていた。
だから俺は、あえて京子さんを追い返し
その後の電話にも出なかった。
京子さんが嫌いになった訳じゃない。
むしろ感謝してる。
でも、彼女と話せば
俺の美羅への想いを見透かされそうで
怖かった。
そして、数日後
薬局のガラス戸越しに
美羅、お前の姿を見つけた…
街路樹の陰から
ジッと、こちらを窺ってる。
バカなヤツ
それで隠れてるつもりか?
でもその、ちょっと間の抜けたお前が
無性に可愛くて、堪らない。
そんなことより
なんで美羅がここに居る?
俺は見て見ぬふりを貫きながら
気が気じゃない。
さっき、理絵から昼飯を一緒に食おうと電話があった。
こんなとこで鉢合わせでもしたら
また面倒なこになる。
帰れ…美羅
そんな俺の願いも虚しく
理絵に声を掛けられ
オドオドしながら何か話してたと思ったら
2人そろって店に入って来る。
美羅とは関わりを避けてたのに
一緒に飯だと?
勘弁してくれよ…
親父までも、行って来いとうるさい。
仕方なく4人で入ったうどん屋
兄貴に会いに来たなんて
見え透いた嘘
お前の目を見れば分かる…
俺に…会いに来たんだよな…
それでも必死になって
嘘を正当化させ様としてる美羅
兄貴は嘘に気付いてない。
問題は、理絵だ。
また、変な勘ぐりをして
俺と美羅の関係を疑い出したら厄介だ。
理絵のことだ。
兄貴に言いかねねぇしな…
美羅がドレスの話しをしたのをキッカケに
俺は美羅を守る為、悪役に徹した。
誰よりも理絵はドレスが似合うと…
その姿を早く見てみたいなんて
心にもないことを言う。
美羅の瞳が悲しそうに
俺を見つめていた
すまない。美羅
俺がしてやれることは
こんなこと位なんだよ。
だから
そんな目で俺を見るな
俺の決心を揺るがさないでくれ
そして、その夜
俺はダメ押しで
あの、俺の部屋で理絵の望みを聞き入れた時以来か…?
久しぶりに理絵を抱いた。