ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
天使の微笑み
いよいよ
新しい生活がスタート。
新婚旅行から帰って数日は
荷物の整理やら
お土産物の仕分けやらと
忙しく過ごした。
でも、5日も経つと
何もすることが無くなり
洗濯と掃除を済ませれば
後はグダグダとテレビを見るくらい。
智可も恵美里も仕事してるし
つまんないな…
その日も
お昼ご飯を食べ
昼ドラを見ながら
ウトウトしていると
玄関のチャイムが鳴った。
「はーい!」
勢いよくドアを開けると
いつもより濃いめのメイクをした理絵さんが
瑠菜ちゃんを抱いて立っていた。
「何か?」
「あのね~、美羅ちゃんに
ちょっと頼みがあるんだけど…」
何時になく愛想のいい理絵さんに
嫌な予感がする。
「頼みですか?」
「そう、悪いんだけど
少しだけ瑠菜を預かって欲しいのよ…」
「私が、瑠菜ちゃんを?」
「うん…
私、今から出かけたいのよね~
でも、瑠菜は連れて行けなくて…
実家の親も居ないから
美羅ちゃんしか居ないのよー
私たち、身内なんだし
困った時は助け合わないと…でしょ?」
それは、私が言うセリフだと思うんだけど…
「はあ…
でも私、自信ないな…」
こんな小さな子の子守の経験などない。
何かあったらと思うと
そう易々と、引き受けることなんて出来ないよ…
「あぁ!それなら大丈夫!
ここに、ミルクの時間とか、作り方
書いてきたから…
とにかく、急ぐの
頼んだわよ」
そう言うと
理絵さんは、私に瑠菜ちゃんを押しつけ
大きな紙袋を渡してくる。
「あ、り…えさん…」
行っちゃった…
機嫌良く
目をパチクリさせている瑠菜ちゃんを抱き
私は途方に暮れる。
どうしよう…