ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「はぁ~…
やっと、帰ってくれた…」


子育てって、こんなに大変なものだったなんて…
私、子供を産んでも
ちゃんと育てられるかな…


不安になってきた…


そんな私の気持ちを
知ってか、知らずか
理絵さんは、それから頻繁に
瑠菜ちゃんを預けに来るようになった。


始めは、1週間に1回程度だったのに
徐々に3日に1回
その内、毎日瑠菜ちゃんを預けに来た。


「あの…理絵さん。
毎日どこに行ってるの?」


当然の様な顔をして
瑠菜ちゃんを連れてやって来た理絵さんに
勇気を出して聞いてみた。


「あぁ?
何?瑠菜を預かるの嫌なの?」


急に不機嫌な顔をした理絵さんが
私を睨みつける。


「いえ…そういう訳じゃなくて…
毎日出かけてるから…」

「子持ち女が出掛けちゃ悪いの?
友達と会ってるのよ!
私が息抜きしちゃダメだって言いたいの?」

「そんな…
でも、毎日だから…
聖斗はこのこと知ってるのかな?」


聖斗の名前を出したとたん
理絵さんの怒りが爆発した。


「うるさいわね!!
そんなこと、アンタに関係無いでしょ!!
いい?このこと、聖ちゃんに言ったら
ただじゃおかないから…
分かったね!!」


玄関のドアを乱暴に閉め
理絵さんは行ってしまった。


私だって、理絵さんが普通の格好なら
あんなこと言わなかった。
日を追うごとに
濃くなるメイクと、短くなるスカート


一体、理絵さん
どこに行ってるんだろう…


「瑠菜ちゃん
ママ、どうしちゃったのかな…」


瑠菜ちゃんに聞いても分かんないよね…


でも、本音を言えば
私は瑠菜ちゃんを待つようになってたんだ…


こっそり買って
本棚の奥に隠した育児書


もう少し大きくなったら
一緒に遊ぼうと
悩みぬいて決めた
木の積み木


瑠菜ちゃんとの時間は
私の生活の一部になってたんだ…





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