ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

聖斗と2人で近くの警察署に向かい
家出人の捜索願を提出した。


帰りの車で
聖斗がため息をつきながら
「警察なんて、あんましアテになんねぇけどな」
と、呟く。


「そうなの?」

「家出人なんて、真剣に探してくれるかよ。
ただ、なんかあった時は
すぐ連絡あるだろうし
気休めみたいなもんだ」

「詳しいんだね」

「あぁ、捜索願出すのは
これで2度目だからな…」


あ…


「それって、もしかして…」

「そうさ。
美羅の時も、俺が届出しに来た。
結局は近所の人が美羅を見かけて
教えてくれただろ?

警察なんか
なーんもしてくれねぇよ」

「そうなんだ…」


それ以上、何も言えなくて
視線を窓の外に向ける。


程なく
マンションの駐車場に到着し
車を降りようとした時だった。


「兄貴が帰って来たら
俺たちのこと話す」
聖斗がハッキリとした口調で
そう言った。


「聖斗…本気なの?」

「あぁ、本気だ」

「理絵さんは…どうするの?」

「理絵とは、別れる」


うそ…


「そんなこと出来るの?
瑠菜ちゃんはどうするの?」

「瑠菜…」


瑠菜ちゃんの名を口にした聖斗は
少し戸惑ってる様子だった。
それは、当然のこと
瑠菜ちゃんの為に理絵さんと結婚したんだもんね…


「無理しないで、聖斗。
簡単なことじゃないってこと位
私でも分かる」

「クソッ!!」


ハンドルを叩き
顔を歪める聖斗


優斗が居なくなった
こんな時に
不謹慎かもしれないけど


嬉しかった…
そこまで真剣に聖斗が私のこと考えてくれてたのが分かっただけで
心が満たされていく…


愛を…感じた…


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