ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
それから、一ヶ月
優斗の行方は未だに不明で
聖斗が言った通り
警察からは、なんの連絡も無い。
心当たりは全部探した。
なんの手掛かりも無いまま
空しく過ぎる日々
1つだけ、胸に引っ掛かっていることがあった…
優斗が居なくなる前に
掛ってきた電話
あの時から優斗は元気がなくなって
考え事をすることが多くなったみたいな気がする。
誰からの電話だったんだろう…
ちゃんと聞いておけば良かった。
そのことが、悔やまれてならない。
・・・
「なぁ、それって美味いのか?」
瑠菜ちゃんが食べてる離乳食を指差し
聖斗が聞いてくる。
「味は、ほとんど素材のまんまかな。
超うす味
聖斗も食べてみる?」
「ゲッ!そんなの、いらねーよ」
優斗が居なくなってから
聖斗はお昼休みになると
私のマンションの部屋に来てくれて
お昼ご飯を食べる様になってた。
もちろん、理絵さんには秘密
理絵さんも、相変わらず瑠菜ちゃんを私に預け
派手な格好で出掛けて行く。
でも、私たちには好都合だった。
聖斗も見て見ぬふりしてるみたいだし
お陰で、聖斗と瑠菜ちゃん3人で居られる。
「で、この前言ってた
兄貴に掛ってきた電話だけど
心当たり無いのか?」
「うん…」
「誰なんだろうな…
その、電話の相手」
そう言いながら
私の後ろから腰に手をまわしてくる聖斗
「もう!ダメだよ。
瑠菜ちゃんが見てる」
「バカだな。
瑠菜は俺と美羅が仲良くしてるの見ると
嬉しそうに笑うんだぞ!
ほら、見ろ。笑ってる」
あ…ホントだ…
私と聖斗を見て
キャッキャッと、声を上げる瑠菜ちゃん。
「るなぁ~、もっと笑ってみろ!」
聖斗がそう言って
私を抱きしめ頬にキスをすると
「キャーッ!!」と
手足をバタつかせ
零れんばかりの笑顔を見せる。
「なっ?喜んでる」
「確かに…」