ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
第5章《妻~・・・》

あの場所から・・・


聖斗との約束の土曜日


理絵さんには
智可の家に泊まりに行くから
瑠菜ちゃんのお世話は出来ないと告げ
マンションを出る。


既に静岡に出発した聖斗と
今日の夜
京子さんの料亭で会う約束をした。


京子さんには
ただ、聖斗と遊びに行くと
言っただけだったけど
私を出迎えてくれた彼女は
全てを察しているみたいな
ちょっと困った表情をしてた。


「で、聖斗は何時頃来るの?」

「うん…多分、7時には来ると思う」


京子さんの部屋で
大好きなロールケーキをご馳走になりながら
そう答えると


「じゃあ、夕飯は一緒に食べれるんだね。
話しはその時、聞くとするか…」
と、ため息を漏らす。


京子さんは気付いてるよね。
私と聖斗が、どうしてここに来る気になったか…
何を話そうとしてるのか…


何も言わない京子さんが
ちょっぴり怖い。


そんな微妙な雰囲気の中
聖斗がやって来た。


「よう!ばぁーさん、久しぶり」

「なんだよ!ご挨拶だね、聖斗。
夕飯まだなんだろ?
アンタが来るの待ってたんだからね。
そこに座りな!」


そして、私と聖斗と京子さんで
テーブルを囲み
花板さんが直々に作ってくれたうな重を頂く。


「美味しい!!」

「うん。うめぇ~」

「とーぜんだろ?
で、話しって…何?」


京子さんがそう聞くと
聖斗は箸を置き
姿勢を正すと、畳に両手をついて
頭を下げる。


「京子さん、この前はごめん。
心配してくれてたのに
あんな態度とったりして
本当に悪かった。

あれから色々あって
俺と美羅、やり直すことにしたんだよ。

京子さんには
ちゃんと報告したくて
今日、ここに来た」

「ふーん…」


硬い表情を崩すことなく
京子さんは腕を組む。


「報告はいいけど…
私に不倫の片棒を担がせたいって思ってんなら
お門違いだよ。

味方になって欲しいとか
そんな甘い考えで、ここに来たんなら
今すぐ帰りな!

自分たちの立場をわきまえるんだね。
2人とも、もう子供じゃないんだ…」


京子さん…


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