ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

聖斗に抱かれる前と
抱かれた後…
私の中で、何かが大きく違っていた。


それが、なんなのか…
自分でもよく分からない。


ただ、一つだけ言えるのは
再び
聖斗を失う恐怖に脅えていたということ…


もう二度と、あんな辛い思いしたくない。


だから、早く結論を出したい。
その為には
どうしても優斗に帰って来てもらわないと…


でも、優斗からの連絡は無く
手掛かり一つ見当たらない。


そんな状態のまま
季節は夏を迎えようとしていた。







相変わらず
聖斗と会えるのは
平日のお昼休みのみ


午前中に、瑠菜ちゃんを散歩に連れ出し
早目の昼食を食べさせ
聖斗が来る前にお昼寝をさせる。


僅か1時間のお昼休みに
私たちは愛し合う。
事が終われば
慌ただしく薬局に戻って行く聖斗


こんな生活に
私は不満を抱き始めていたんだ…


もっと、一緒に居たい。
もっと、触れていたい。


理絵さんさえ、居なければ…


自分のやってることが、どれだけ罪深いかなど
考える余裕すらなかった。


…そんな、ある日
いつもの様に聖斗に抱かれ
別れの時間が迫っていた時だった。


「全て片付いたら、ここを出よう」


Tシャツを手に持った聖斗が
ポツリと言った。


「えっ?」

「この街を離れる。
理絵や兄貴が居るとこで暮らせねぇだろ?」

「そう…だね…
でも、どこ行くの?」

「んっ?ちょっとアテがあんだよ。
ちゃんと決まったら話す。

でも…問題は理絵だよな…
アイツが素直に別れることに納得するか…」


そう言って、ため息をつき時計を見た聖斗が
もう時間がないと
慌てて部屋を出て行く。


その姿を見て、私は決心したんだ。
理絵さんがどこに行ってるか
確かめようと…

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