ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「話しはそれだけ?
私、夕食の支度しないといけないの
じゃあね!」

「あぁ…」


パタン…


終始、理絵さんのペースだった…
勝手に話しを切り上げられ
なんの反論も出来なかった。


悔しくて、情けなくて
自分に腹が立つ
どうしてもっと強く出れなかったんだろう…


どう考えても
私の方が優位に立てたはずなのに…


この、どうしようもない憤りを
どう静めたらいいのか分からなくって
私は普段飲まないお酒を
浴びるほど飲んだ。


智可から理絵さんのことを聞く電話があったことまでは
覚えてるけど
その後の記憶は定かではない。


リビングのソファーで目覚めたのは、翌朝
既に午前10時を過ぎていた。


「うっ…頭…痛い」


完璧、二日酔いだ…


「あっ!!瑠菜ちゃんは?」


慌てて起き上がり
辺りを見渡す。


あぁ、そうだ…
今日から理絵さんは出掛けないから
瑠菜ちゃんは来ないんだ…


そう思うと、無性に寂しくなる。
瑠菜ちゃんの顔が見たくて堪らない。


でも、どんなに会いたくても
私から預かるなんて言えない…


鉛の様な重い体を引きずり
浴室に向かう。
シャワーを浴び、少しハッキリした頭
飲みすぎたせいなのか
異常に喉が渇き
ペットボトルの水を一気飲みした時だった。


玄関のチャイムが鳴る。


誰だろう?


濡れた髪を整えながらドアを開けると
今までとは、比べ物にならないほど
地味な格好をした理絵さんが
瑠菜ちゃんを抱いて立っていた。


「あら?今、お目覚め?」

「あ、うん…」

「そう、今ね、瑠菜を散歩に連れてった帰りなんだけど
急にお寿司が食べたくなっちゃって…
丁度、お昼だし
寿司折り買ってきたの

美羅ちゃんの分もあるから
一緒に食べない?」


絶句してしまった…

私とお昼?信じらんない…



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