ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

30分ほどで高校に到着すると
駐車場になってる運動場に車を走らせる。


先生らしき人の誘導で
車を停車させ、降りようとした時
その先生が
私たちの方に駆け寄ってきた。


「大原。大原じゃないか?」

「あ、先生…」

「懐かしいなぁー
元気にしてたか?」


どうも、聖斗のことを知る先生のようだ…


「お前、スーツなんか着て
何しに来たんだよ!
まさか、また高校生やりに来たのか?」


先生は、嬉しそうに笑ってるのに
聖斗は相変わらず
シラけてる。


「まさか…
今日は、俺、保護者だから…」


その言葉を聞き
先生が不思議そうに
聖斗の後ろに隠れてる私を覗き込む


「へー…お前、妹居たのか?」


また、妹か…


「違うって、コイツは俺のイトコ」

「ふーん」


微妙な顔で私を見る先生
でも、すぐ聖斗に視線を戻し話し出す。


「しかしなぁー
あんなに勉強しなかった大原が
薬学部に、一発合格するとは
奇跡としか言いようがないなぁ…」


伯父さんは、調剤薬局を営んでる。
だから
優斗も聖斗も
小さい頃から薬剤師になるのが
当たり前の様に育てられてきた。


「イヤミかよ…
国立落ちて、私立行ったの
知ってるだろ…」

「バカだな!
私立でも、たいしたもんだ。
6年も大学生出来るなんて
いい身分だぞ。
親御さんに感謝しろよ!」


先生は、言いたいこと言うと
入って来た車の誘導に走り出す。


「やっぱ、来るんじゃなかったな…」


独り言の様に呟く聖斗の後ろを
私は何も言わず、ついて行く。


聖斗は優斗が行ってる
国立の薬学部を受けて落ちていた。
もし、受かってたら
国立に行ってたよね…


やっぱり
私の為に家に残ってくれた訳じゃないんだよね…


私、うぬぼれてたんだ…


所詮、私は妹
それ以上にはなれない。








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