ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
入学式が行われる体育館に歩いている途中
妙に視線を感じて
辺りを見回すと
皆、聖斗を見てるみたい…
他の生徒は
ほとんどが母親と一緒
私と聖斗の組み合わせは
どう見ても浮いてる。
「聖斗…
皆、見てるね…」
「んっ?」
「他の人はお母さんと来てるし
目立っちゃう…」
すると聖斗は
少し歩く速度をゆるめ
私の横に並ぶと
突然、私の肩を抱いてきた。
「ち、ちょっと…聖斗?」
「見たい奴には見せときゃいい。
母親が居なくっても
お前は何も卑下することねぇんだ」
聖斗…
私に母親が居ないから
同情してくれてるの?
「…大丈夫だよ…
私、ママが居なくても平気だから…」
「あぁ…」
やっと、聖斗が私を見て
笑ってくれた…
「あの…でも、この腕…
恥ずかしい…」
そう言って
肩にまわされた聖斗の腕を指差すと
面白がって
更に強く抱き寄せられた。
「聖斗!」
「いいんじゃね?
目立つのも悪くない」
聖斗が良くても
私は…
まるで不審者みたいに
オドオドしながら
熱を持った頬を隠す為に下を向く。
嬉しい…
嬉しいけど…
好きでもないのに
どうして、こんなことするんだろう…
周りの視線は
更に激しく私たちを追ってくる。
混雑している体育館の入り口でも
私たちの1m四方には
誰も近づいてこない。
もう、限界…
そう思った時、後ろから声を掛けられた。