ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
それぞれの愛
主治医の先生から、優斗の状態は安定しているので
もう心配はいらないと説明を受け
ホッとする。
伯父さんと2人
眠る優斗の傍らに座り
無言でその寝顔を見つめていた。
どの位そうして居たんだろう…
気付けば、時刻は深夜1時
「伯父さん、明日は伯母さんの手術だよね。
優斗は私が見てるから
伯父さんは帰って」
「いや、美羅ちゃん一人には出来ないよ。
伯母さんには聖斗がついてるから
心配いらないよ」
「聖斗が?」
「夕方電話したら
理絵さんと付き添いを変わったって言ってた。
大丈夫だから…」
聖斗…
聖斗は優斗のことを聞いて
どう思ったんだろう…
「じゃあ、伯父さんは少し眠って!
長距離の運転で疲れてるでしょ?
私、その間に
何か食べる物買ってくるから…」
「すまないね…」
疲れ切った顔をして
椅子に深く体を預ける伯父さん。
病院の外のコンビニでおにぎりを買い
急ぎ足で病室に戻って
ドアを開けようとした時
少し離れた廊下の長椅子に座っている女性に気付く。
「由香さん?」
私に視線を向けた由香さんは
立ち上がり
「すみません、もう少しだけ
ここに居させて下さい」
と、目を伏せる。
ずっと、ここに居たんだ…
私は迷わず彼女の元に歩み寄ると
長椅子に腰を下ろす。
「少し、お話しさせて下さい」
由香さんは戸惑いながらも
「はい」と言って
私の横に座った。
「何も食べてないんですよね?
良かったら、これどうぞ…」
レジ袋から、おにぎりを取り出し
由香さんの膝の上に置くと
彼女はグッと、体を硬直させる。
「優斗が行方不明になった時から
ずっと一緒に居たんですよね?」
「…はい」
「優斗が死のうと思った理由…
聞かせてもらえなせんか?
優斗に、一体何があったんですか?」