ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「あの…大原先輩…ですよね」

聖斗の腕が
私の肩から離れる


「えっ?」

「あーっ!やっぱり、大原先輩だ!
私です。大木です」

「おお…き?」


聖斗が不思議そうな顔をして
その学生の顔を覗き込む。
新入生じゃなさそう…


「あぁ!
1年坊主だった大木か?」

「はい。でも、もう3年ですよ」

「へぇ~、すっかり綺麗になってたから
分かんなかったぞ。
なんでお前が、ここに居るんだよ!」

「式が終わったら
新1年生の部活の勧誘があるから…
忘れちゃったんですか?」


聖斗と親しげに話しながら
時折、私をチラ見してくる3年女子
怖い…


すると、後から来た
数人の女子も
聖斗に気がつき
ハーレムみたいに聖斗を取り囲む。


聖斗って、人気あったんだ…


「美羅、先行っててくれ。
書類は出しとくから…
それと、帰りは車で待ってるからなー」


少し離れた場所で
様子を窺ってた私に
聖斗が声を掛けるから
彼女たちの冷たい視線が
一斉に私に向けられる。


「誰?あの子…」

「大原先輩の妹?」

「先輩って、妹居なかったよー」

「じゃあ、何者よ?」


話しに夢中の聖斗には
多分、聞こえてない…


入学式早々
先輩に目を付けられるなんて
最悪だ…


私は慌てて体育館にの中に入り
壁に張られたクラス分けの表を確認して
ステージ前のパイプ椅子に座る。


中学時代の仲が良かった子たちは
他の高校に行っちゃったから
話し相手も居なくて
手持ち無沙汰だ…


誰か知ってる子
居ないかな…


キョロキョロ辺りを見回すが
知ってる顔は無い…


すると、隣から低い声が…


「うぜーから
ジッと座ってろ!」
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