ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
「優斗の意識が戻ってから
まだ会ってないんですよね?
由香さんの元気な顔
見せてやって下さい」
「えっ?」
由香さんの手を引き
病室へ戻ると
伯父さんは熟睡状態。
「いいんですか?」
「はい…」
嬉しそうにベットに駆け寄った由香さんが
優斗の名を呼ぶ
「ユウ…ユウ…」
ユウ…?
優斗のこと、そう呼んでたんだ…
私の前では遠慮して
"優斗さん"って、言ってたんだね。
目を覚ました優斗が
とても優しそうな顔をして笑った。
2人は、愛し合ってる…
私はそっと、病室を出ると
廊下の長椅子に戻り
床に落ちたレジ袋を拾い上げる。
その時、気付いた。
優斗の借金の返済が
今日までだったってことを…
慌ててスカートのポケットに手を突っ込んだ。
「えっ…?無い」
督促状が…無い。
確かに、ここに入れたはずなのに…
もしかして、落とした?
アレが無いと
業者の名前も、振込先も分からない。
急いで病室に行き
優斗に業者の名前を聞いたけど
優斗は言おうとしない。
「どうして?
お願い、教えて優斗。
でないと何もかも失うんだよ!」
必死に訴える私と対照的に
優斗は不思議な位、落ち着いてる。
「大丈夫…美羅の…名義になってる物は…
差し押さえられない…から…」
「そんな問題じゃないよ!」
「もう…いいんだ。
俺のことは…心配しないで…
こんな男のことなんか…
忘れて…くれ」
「何言ってるの?優斗!!」
どうして?
どうして、そんなに冷静で居られるの?
泣きながら優斗のベットに縋りつく私に
優斗はニッコリほほ笑むと
とても穏やかな声で
囁く様に言ったんだ。
「離婚しよう…美羅」