ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「り…こん?」

「これ以上…美羅に迷惑…掛けられない。
ごめんな…美羅…
幸せに…してやれなくて…ごめんな」

「優斗っつ!!」


床に座り込み
泣きじゃくる私の体を
由香さんが支えてくれていた。


違う…違うんだよ…


優斗が帰って来たら
私の方から離婚を申し出るつもりだったのに
そんなことなど知らない優斗は
こんなになってまでも
私のことを心配してくれてる。


子供の頃から
いつも私を守ってくれてた優斗。
今度は、私が優斗を守る番だよ。


私、諦めないから…


私の声に目を覚ました伯父さんにも
事情を説明して
2人で説得したけど
優斗は決して業者の名前を言わなかった。


いつしか朝日が病室に降り注ぎ
私は焦り出す。


もう時間が無いのに…


すると伯父さんが
私を廊下に連れ出し
沈んだ声で言う。


「美羅ちゃん
もう、諦めよう…
優斗に業者の名前を聞いた所で
1300万なんてお金、用意できそうもないよ。

優斗と聖斗が結婚した時
マンションを買っただろ?
あの時、ウチの貯金はほとんど使ってしまったし

今から銀行に相談しても
すぐには貸してはくれないよ…」

「伯父さん…私、800万なら払える。
残りの500万
なんとかならない?」


そう、私にはアノお金があった。
黒木さんが謝罪の為に
私に渡してくれた
アノお金が…


黒木さんは、私の幸せの為に使って欲しいと言ってた。


今がその時だと
私は心に決めてたんだ…


「800万って…
そんなお金、どうして?」

「何も聞かないで、伯父さん。
変なお金じゃないから…
後500万お願い」


すると伯父さんの目の色が変わり
「…分かった。
なんとかしてみる」
と、決意の表情で頷く。


伯父さんが心当たりに連絡し始めた時だった。
私の携帯が鳴る。





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