ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

恵美里からだ…


通話ボタンを押すと
明るい恵美里の声が聞こえてきた。


『みらぁ~オハヨ!
実はさー、今日バイト休みになったんだよねー
遊びに行ってもいい?』

「あ…、今日は…ちょっと…」

『何?ダメなの?
つまんなーい!!』


恵美里に謝り
携帯を切ろうとした時
ハッとした。


『恵美里!頼みがあるの!』


私は恵美里に、今の状況を説明し
マンションに行って
督促状が落ちてないか見てきて欲しいと頼んだ。


落としたのなら
多分、部屋の外の廊下か
エレベーターの辺り…


『うっそー!!ソレ、マジな話しなの?
分かった。
とにかくマンションに行ってみる』

「ごめんね…
オートロックの解除番号は
1754だから…
見つかったら携帯に掛けてきて」

『うん』


お願い…恵美里
見つけて…


祈る様な気持で携帯を切ると
伯父さんが
「美羅ちゃん、200万なら
なんとかなりそうだ」
と、声を弾ませる。


後、300万だ…


その後も
私と伯父さんは心当たりに電話し
お願いを繰り返す。


でも、銀行や生命保険会社からは
今日中には、とても無理だと断られた。


時間さえあれば
余裕で用意できるはずの金額なのに…
今すぐとなると
これが限界かのかな…


時間は刻々と過ぎて行き
お昼の12時をまわってしまった。


「300万なのに…
もう少しなのに…」

「時間が無いな…美羅ちゃん。
私のカードでキャッシングするよ…
でもな…目一杯借りれても250万だ。
まだ足りないな…」


伯父さんが項垂れながら呟く


優斗…ごめん、ダメかもしれない…


半分諦めかけ
悔し涙が頬を伝った時だった…


背後から聞き覚えのある声がした。


「…その300万、私が出してもいいわよ」





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