ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

『その借入金を支払うのは待ってくれ』

「あ、あのー、どなたですか?」

『俺の声、忘れちまったのか?
ショックだな…美羅』

「えっ?」


もしかして…まさか…


『誰かを頼る時は、俺を頼れって言ったのも
忘れたのかよ?』

「上杉…君?」


懐かしい…

彼の優しい声に
胸の奥がキュンとする。


『いいか?美羅。
俺の話し、よく聞けよ!!』

「あ…う、うん」




…上杉君の話しによると

マンションで督促状を見つけられなかった恵美里は
不安になり
以前、上杉君に会った時に聞いた
彼の勤めてる弁護士事務所に
泣きながら飛び込んで来たそうだ。


『美羅を助けて欲しいって…
まったく、驚いたよ』

「そう…恵美里が…」

『あぁ、恵美里の説明の仕方が
訳分かんねーから苦労した…

いいか!
まず、その金融会社の所在地と社名を教えてくれ。
もしかしたら
その借金は払わなくていいかもしれない』

「それ、本当なの?」

『すぐ確認して
折り返し電話する。
それまでは、絶対に振り込むなよ!』

「わ、分かった…」


携帯を切った私を
不思議そうに見つめる伯父さんと理絵さんに
電話の内容を話し
ひたすら携帯が鳴るのを待つ。


振り込み可能な3時まで、後20分…


♪~ ♪~ ♪~


「はい!どうだった?」

『美羅、やっぱり思った通りだったよ。
その会社は貸金業の登録がされてない。
それに、800万の借り入れが
短期間で1300万になるなんて、ありえねぇ

そんな法外な金利で貸し付けしてたとなると
法律に違反する。
その場合、金利は元より
借りた800万も返す必要は無いんだよ。

今から俺がその会社に行って
話しをつけてくる」

「本当に…本当なの?
支払わなくていいの?」

『弁護士の言うこと信じろ!!バカ!!』

「うん…うん…」


ありがとう…上杉君
ありがとう…恵美里


全身の力が抜け
立っているのがやっとだ…


良かった…

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