ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

伯父さんと理絵さんに事情を説明し
借金は払わなくてもいいと言うと
伯父さんも安心したのか
目を硬く閉じ、大きく息を吐く。


「理絵さん、色々ありがとう。
このお金、お返しします」


すると理絵さんは唇を噛み
「貸したことには変わりないんだからね!
あの約束、忘れないでよ!」
と、ピンヒールの靴音を響かせながら
銀行を出て行く。


そうだった…
聖斗のこと、どうしたらいいのかな…


嬉しさは、一転
一気に気分が落ち込む


伯父さんと優斗の病室に戻り
ことの真相を優斗と由香さんに話すと
由香さんは泣いていた。


そんな由香さんに
伯父さんは真剣な顔をして
話しがあると切り出す。


「父さん?」

「そんな顔するな、優斗。
少し聞きたいことがあってね…
由香さん、下の喫茶店で話そうか?」

「…はい」


伯父さんと由香さんが病室を出て行くと
私はベットの横のパイプ椅子に座り
優斗の手を、そっと握る。


「美羅…すまない…」

「謝らないで、優斗」

「俺は最低の男だ…」

「そんなことない」


優斗は私から視線を逸らし
真っ直ぐに天井を見上げると
静かに話し出す。


「俺は、由香が好きだった…
でも、アイツが離れて行って
忘れなくちゃいけないって
ずっと自分に言い聞かせてたんだ。

美羅のことは本当に好きだったんだよ…
でも、今考えると
由香を忘れる為に、美羅を好きになった様な気がする。

俺は、卑怯な男だ」

「違う!優斗は卑怯なんかじゃない。
私を大切にしくれた。
一杯、愛してくれた。

でも、借金のこと
どうして何も言ってくれなかったの?」


優斗の手を、更に強く握ると
優斗は少しだけ笑った…


「美羅には、俺の弱い部分を見せたくなかった。
子供の頃から
俺は頼りになるお兄ちゃんだったろ?

カッコ悪い姿なんか
さらしたくなかったんだよ。

でも結局は、このザマだけどな」

「優斗…」


優斗の言葉を聞いて思った。


私たちは夫婦では無かったと…
それは、幼い頃から変わらない
兄と妹の延長線の様な関係


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