ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「今…なんて…言った?」


突然のことで
伯父さんは
私が言った言葉の意味を理解出来ない様子


「ごめんね、伯父さん。
優斗が由香さんを大切に想う様に
私も大切に想ってる人が居るの…」

「…どうかしてる…」

「伯父さん…」

「どうかしてるぞ!!お前たち!!
離婚なんて、そんな簡単に口にするものじゃない」


怒りに震え
伯父さんが大声を張り上げる。


「…父さん、俺と美羅の結婚は
間違いだったんだ。
お互い、そう確信したんだよ…」

「黙れ!!話しにならん!!
私は帰る!!」


私と優斗の言うことなど聞く耳を持たず
伯父さんは「絶対に許さない」と吐き捨てると
乱暴にドアを閉め
病室を出て行った。


当然のことだけど
分かってはもらえなかった…


すすり泣く由香さんを
心配そうに見つめる優斗に
私は、覚悟を決め
ある提案をする。


優斗は、一言…
「頼む…」
そう言って頷いた。


そして私は
2人を残し病院を後にすると


その夜は、病院近くのビジネスホテルに泊まり
次の日の朝
タクシーで、市役所に向かった。


そして、優斗の病室に行き
2人に薄い2枚の紙を、広げて見せた。


離婚届と、婚姻届


「美羅、本当にいいのか?」

「うん。
伯父さんは納得してくれなかったけど
これが一番いい選択なんだよね。
優斗にも…私にも…」

「美羅…ありがとな。
でも、美羅は大丈夫なのか?
アイツは…別れられるのか?」

「なんとかなるよ!」


目一杯、明るくそう言って
私は離婚届に自分の名前を書き込み
印鑑を押す。


迷いが無かったと言えば嘘になる。
一生、優斗と生きて行くと決めて結婚したんだもん。


短い間だったけど
優斗の妻になれたこと
後悔してないからね。


ありがとう…
そして、由香さんと幸せになってね。
優斗…


こみ上げてくるものを押さえ
立ち上がった時だった。
病室のドアを、誰かがノックした。





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