ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
「はい…」
ゆっくり開いたドアの向こうに居たのは…
「聖斗…」
こちらをチラッと見た聖斗は何も言わず
私の横を通り過ぎ
優斗のペットへと
一直線に歩いて行く。
「よう!兄貴、生きてたか?」
「なんとかな…」
短い会話を交わすと
聖斗は由香さんに目をやり
「この人が兄貴のコレ?」
と、小指を立てる。
「そんなとこだ…」
「親父から聞いたよ。
兄貴も大胆なことやってくれるよな。
で、美羅と離婚して
この人と結婚するって?」
「あぁ、美羅も納得してくれた。
お前だって、それが望みだったんだろ?」
「なんのことだよ?」
微妙な距離を取りながら
2人は互いの胸の内を探り合ってるかよう…
「お前と美羅も…だろ?」
すると聖斗は、また私をチラッと見て
「残念ながら、俺は美羅にフられたんでね…」
と、冷めた目をする。
驚いたのは優斗
「フられた?
どういうことだよ?美羅」
「それは…」
言葉に詰まり俯く私の頭を
聖斗がクシャクシャと撫でると
「理絵がここに来たそうだな?
どうせまた、アイツがなんか仕組んだんだろ?」
と、呆れた顔をする。
「知ってたの?聖斗」
「やっぱりな!
そんなことだろうと思ったよ。
で、俺は美羅を諦めなきゃいけねぇのか?」
笑いながら意地悪な質問をする聖斗
私は思いっきり首を左右に振り
「ヤダ…
諦めて…ほしくない…」
と聖斗のTシャツの裾を引っ張った。
それを見た優斗が
「やれやれ…」
と言って、由香さんと目を合わせ微笑んでる。
皆笑顔だ…
穏やかな時間が流れ
久しぶりに、幸せを感じていた…
まるで、昔に戻ったみたい。
このまま、時間が止まってくれたらいいのに…
・・・
そしてこの後
私と優斗は、聖斗の口から
思わぬ話しを聞くことになる。