ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
「今日、俺がここに来たのは
親父に頼まれたからだよ」
「父さんに?
どうせ、俺を説得してこいとか言われたんだろ?」
優斗が投げやりな言い方をすると
聖斗は意味深な笑みを浮かべ
横に居た私の肩に手をまわす
「聖斗?伯父さんなんて?」
「由香さんと幸せになれってよ!!」
「…うそ」
「嘘ついて、どーする?」
「聖斗…俺をからかってんのか?
あんなに怒ってた父さんが
俺たちのこと、そんなにアッサリ認める訳ないだろ」
矢継ぎ早に疑問を投げ掛ける私と優斗のことなど
お構いなしって感じで
聖斗は涼しい顔をして
得意げに笑ってみせる。
「京子さんが説得したんだよ。
まあ、親父にも色々過去があるからな…
自分のこと棚に上げて
兄貴たちのこと反対出来なかったってことだ」
「過去…?」
なにも知らない優斗は不思議顔。
「京子さん、来たの?」
「あぁ、お袋が手術したから
見舞いにな。
そんで、兄貴のこと聞いて
京子さんが激怒してな。
親父にそんなこと言う資格あるのか?ってさ!
俺と美羅が、こうなったのも
元はと言えば親父が原因なんだし
で、俺も便乗して
美羅の好きだって言った男は俺だって
言ってやったんだ」
「言っちゃったの?聖斗…」
うわぁ~…
その場に居なくて良かった…
「親父のヤツ、暫く放心状態だったよ」
「…だろうね…」
私と聖斗の会話の内容が
イマイチ理解出来ない優斗が
「父さんに俺を責める資格が無いって…?
聖斗と美羅のことが
どうして父さんのせいなんだよ?」
と、突っ込んでくる。
「話すと長くなるから
それは、また今度な!!
でも、親父は口では兄貴たちのこと認めたって言ってたけど
実際、納得したかは分からねぇ…
ここを退院して
彼女を連れて家に帰っても
歓迎されるかは不明だな…」
聖斗の言葉に
優斗は小さく頷くと
「分かってる…
家には帰るつもりはないから…」
と、キッパリと言い切った。