ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
「…帰らないって…
本気なの?優斗」
「美羅、大丈夫だよ。
借金も無くなったことだし
由香と2人、なんとかやっていけるさ」
私の心配をよそに
優斗の顔は幸せに満ちていた。
「兄貴なら、そう言うと思って…」
聖斗がそう言いながら
ジーンズのポケットから一枚の紙を取り出し
優斗のベットの上に置く
「これは?」
「俺が理絵と別れたら
街を出るつもりで、大学の同期のヤツに就職先探してもらってたんだ。
これは、そのドラックストアーの住所だよ。
仕方ねぇな…
兄貴に譲ってやるよ」
「聖斗…いいのか?」
「あぁ、気が変わったんだ。
俺は家に残る。
兄貴は由香さんと上手くやれよ」
ずっと優斗の横で話しを聞いてた由香さんが
両手で顔を覆うと、震えながら
深々と頭を下げた。
「ありがとう…ございます」
聖斗…なんか、すっごくカッコいい…
「すまない…聖斗。
お前の好意に甘えるよ…」
すると聖斗は照れながら咳払いをすると
私の手を握り
「帰るぞ、美羅」
と、ニッコリ笑う。
「うん」
優斗と由香さんに
離婚届を提出したら連絡して欲しいと頼み
「お幸せに…」と言って
私と聖斗は病室を後にした。
「聖斗、カッコ良かったよ」
「あったりめぇーだ!!
惚れ直しただろ?」
「うん。
一杯、惚れ直した」
多くの患者さんが行きかう廊下で
突然、聖斗が私を抱きよせキスをした。
「んっ…!!
せ、聖斗…?」
「フフッ…バツ1になる感想は?」
「もう…意地悪!!
でも、嬉しい…とっても、嬉しいよ」
そう言って
赤く火照った顔で
聖斗を見上げたら…
「今度は、俺の番だな…」
遠い目をした聖斗が
決意の表情で、窓の外を見つめていた…
もう、後戻りは出来ない…