ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
「嘘だ…嘘だ…
そんなはず…ない…」
うわ言みたいに
何度も同じ台詞を繰り返す森下さん
ショックなのは、私も同じ…
森下さんが瑠菜ちゃんの父親じゃないということは…
答えは一つ
体中の力が抜けて
危うく瑠菜ちゃんが腕から
ズリ落ちそうになり
慌てて抱きあげる。
どうしたらいいの?
私はまた、聖斗を失うの?
嫌だよ…
聖斗…嫌だよ…
潤んだ瞳で聖斗を見つめると
聖斗と雅史さんも
顔を見合わせ呆然としてる。
「どうだね?やっぱり理絵の言った通りじゃないか!
こんな男が瑠菜の父親なはずがない」
得意げに高笑いする
理絵さんのお父さん
理絵さんも、当然だとばかりに
微笑んでる。
「まあ、結果は分かっているが
一応、聖斗君のも確認しといたらどうだね?
父親としての自覚を持ってもらわないとな!!」
理絵さんのお父さんに促され
聖斗がソレに手を伸ばす。
丁寧に封を切り、中の紙を広げ
暫くソレに見入っていた。
そして、表情を変えること無く
その紙をローテーブルの上に
ゆっくり置く
「……!!」
ソレを見た
全員が絶句した…
だって…
聖斗の検査結果も
『生物学上、親子である可能性…
0パーセント』
だったから…
「どういうことだ…
2人共父親じゃないなんて…
この検査は信用できるのかね?」
理絵さんのお父さんが
真っ赤な顔をして叫ぶ
すると雅史さんが
「もちろんです。
DNAを採取した時は、私が立ち会いました。
これは法的にも十分通用するものです」
と、冷静に答えてる。
「じゃあ…
瑠菜の父親は…いったい…誰なんだ?」
理絵さんに投げかけられる
疑問と疑惑の視線
「うっっ…あぁぁ…」
突然泣きだした理絵さんに
今まで黙ってた聖斗が冷めた声で尋ねた。
「理絵、いい加減、ホントのこと言えよ」