ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

初カレ


入学式から数日

家では
毎晩の様に深夜に帰って来る聖斗と
顔を合わせることも少なくなり


学校では
前の席の上杉君に振り回され
精神的に、少々疲れ気味だった。


入学式の次の日
上杉君が聖斗のことを聞いてきたけど
イトコと言ったら
また、色々と聞かれると思い


いちいち説明するのが面倒だった私は
聖斗のことを"お兄ちゃん"だと
嘘をついたんだ。


「入学式までついて来るって
すげーシスコン!
ありえねぇー」


上杉君は、呆れていた…



キーンコーン カーンーコーン…


4限目の終わりを告げるチャイムが鳴る。


ハァ~…
やっと、お昼だ…
お腹すいた。


まだ、それほど親しい友達が出来てない私は
いつもお弁当は
自分の席で、1人で食べていた。


幼い時から
1人は慣れている


ママとパパが亡くなってから
私は無意識に
他人を避けていたのかもしれない…


「へー旨そうな弁当だな!」

「ちょっと!勝手に人のお弁当覗かないでよ」


チャイムが鳴ると
すぐ、どっかに居なくなってた上杉君が
今日は珍しく席に居る。


「なんだよ。
1人で食ってんのか?
仕方ねぇなぁ…
今日は特別、一緒に食ってやるよ」

「はぁ?
意味分かんないだけど…
どうして私が上杉君と一緒に
お弁当食べなきゃいけないの?」


…人の話しを聞いてない…


既に彼は、椅子をひっくり返し
私と向き合って座ると
自分のお弁当を広げ始めてる…


「ねぇってば!
どういうつもり?」


すると、上杉君は
窓を指差し
「今日は雨だからな…」
と、恨めしそうに空を見上げる


久しぶりに降る春の雨は
校庭の桜の花びらを散らし
芽吹いたばかりの若葉を濡らしている…


「だから、雨がなんなのよ!」

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