ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「急に帰って来て
なんかあんの…かよ…」


ドアを開けた聖斗の動きが、止まった…


「…美羅?」

「せい…と…」


どう見ても
ベットで抱き合ってるとしか見えない
私と優斗の姿に
聖斗は目を逸らしながら
微かに笑う…


「…悪りぃー俺、邪魔したみたいだな…」

「何言ってんだ。
実はな、明日、中学の同窓会があるんだよ」


優斗は、聖斗が冗談で
私たちを冷やかしてるって、思ってる。


「ふーん…
じゃあ、俺は退散するから
続きやってくれ」

「ハハハ…
バカなこと言うなって!」

「…バカなことねぇー…」


フッ…と、小さく笑うと
再びこちらに視線を向け


「イチャつくなら部屋の鍵くらい掛けとけよ。
兄弟のラブシーンなんて
見たくもねぇし」
と、呆れた様にそう言うと
部屋を出て行く…


「アイツ、あんな冗談言うヤツだったっけ?」


不思議そうに
私の顔を覗き込む優斗に
引きつった笑いしか返せない私


冗談なんかじゃない…
聖斗は多分、本気で言ったんだ。


違うのに…
私が優斗を好きだったのは
ずっと昔のことなのに…
今は聖斗が誰より好きなのに…


どうして
こうなっちゃうの…


そんなことを考えてたら
居てもたっても居られなくなり
ベットから
飛び起きる。


「美羅、どうした?」

「あっ…優斗、お財布ありがとね。
私、宿題あるから
そろそろ部屋帰る…」

「そうか、勉強頑張れよ」

「うん」


誤解を解きたい…
このままじゃ
益々、聖斗が遠くなっちゃう
ただの"妹"になりたくない。


私の気持ちを
聖斗に伝えたい…




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