ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

優斗の部屋を出て
聖斗の部屋のドアの前で
大きく深呼吸をしてみる。


この部屋のドアが閉まってるの
初めて見た気がする…


ためらいながら
ドアをノックするけど
返事がない


何度もドア叩くが、反応はなく
痺れを切らした私は
そっと、ノブを回す。


「…聖斗?」


聖斗はベットにもたれ掛かり
ヘッドホンをして
タバコをふかしていた。


私に気付き
こちらを横目で見たが
何も言ってくれない…


堪らず聖斗に駆け寄り
「話しがあるの…」
そう言って、聖斗の腕をギュッと握ったけど
彼の反応は鈍い


ヘッドホンを耳から少しずらし
眉間にシワを寄せると
吐き捨てる様に「あん?」と、言う。


このままじゃイヤだよ…
聖斗に彼女が居ても
かまわない。


私の本当の気持ちを
知ってほしいんだよ…


聖斗…


「優斗とは、なんでもない…
私が好きなのは…

私が好きなのは…
聖斗…なの…」


ただ、真っ直ぐに聖斗の瞳を見つめたのは
私が聖斗を想う気持ちが本物だって
分かってほしかったから…


静寂が支配する
2人だけの空間に
ヘッドホンから漏れ聞こえてくる
テンポの速い音だけが
耳に響く


「美羅…」

「聖斗…」


聖斗の力強い視線が
私に注がれ
呼吸をすることさえも
忘れてしまいそうになる


「今、俺のことが…
好きって言ったよな?」





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