ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
「…うん」
ダメだ…泣きそう…
私は、期待してた。
聖斗が『俺も、美羅が好きだ…』
そう言ってくれるのを…
でも、そんな微かな期待は
聖斗の発した言葉で
見事に打ち砕かれたんだ…
「…ふざけたこと、言ってんじゃねぇよ…」
「えっ?」
突然、私の両肩を鷲掴みにした聖斗は
そのまま
勢いをつけ
覆いかぶさる様に
私の体を床に叩き付けた。
「痛い…」
「美羅…お前は自分が何言ってるのか
分かってんのか?
5分前まで他の男と抱き合ってたんだぞ
それで、俺のことが好きだ?
笑わせるな!!」
「せい…と」
「入学式の時だってそうだ。
中々出てこない美羅のこと
どれだけ心配したと思ってる?
なのに、お前は
お気楽な顔して
生意気そうなガキと
おてて繋いで歩いてきたよな!!
学校は、あのガキ。
家じゃ、兄貴
それでも足りなねぇで、俺ってことか?
どうせ、あの2人にも
今、俺に言ったみたいに
好きだとかなんとか言ったんだろ!!」
違う…
違うよ…聖斗
「上杉君も優斗も
そんな関係じゃ…ないよ」
私のか細い声は
聖斗の耳には入っていない…
「いいか、そんな女のこと
なんて言うか教えてやろうか?」
制服のブレザーの襟を
握り締め
私の上半身を起こすと
一段と低い声で、吐き捨てる様に言った。
「淫乱女って言うんだよ…」
淫乱…女?
私が?
屈辱…そして、絶望…
愛する人に
ここまで罵られ
平静で居られる訳などない
「ひど…すぎる」
「酷いのはどっちだ!!」
耳を塞ぎたくなる様な
聖斗の罵声を間に受け
ショックの余り
その言葉の裏に隠されている
彼の想いに
私は気付くことが出来なかった…
異常なまでの聖斗の怒りが
嫉妬ゆえのものだということに…
本当は
深く愛されていたということに…