ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
「なるほどな…
ブービー賞じゃ、落ち込むのも
無理ないか…」
上杉君は
可哀想に…って、哀れみの目をして
私を見る。
「べ、別に、同情してもらわなくてもいいよ」
「でもさぁ、期末頑張らねぇと
お前ヤバいぞ…」
「分かってるよ…
それより上杉君って
頭いいんだね…
性格悪いのに…」
「お前なぁー!!」
分かってった…
このままじゃいけないって
でも、私はまだ
聖斗から浴びせられた
言葉の呪縛から抜け出せないでいた。
『淫乱女…』
だから
期末テストが近づいてきても
勉強する気にはなれなかったんだ…
期末テスト1日目
1時間目、数学
「はい、後10分!!」
えぇー…
どうしよう…
全然分かんないよー
私の答案用紙の半分は
空欄になってる。
その時だった…
前の席の上杉君が
こっそり後ろに手を伸ばし
私の机を叩く
顔を上げると
彼が自分の答案用紙を
広げて持ち上げ
後ろの私から丸見えの状態
えっ?何?
白々しく咳払いをする上杉君
まさか…
私に答え教えてくれてるの?
ダメだよね…
これって、カンニングだよね…
ダメ…ダメ…
そう思いながらも
私は、上杉君の答案用紙に書かれてある答えを
書き写していた…
神様…
ごめんなさい。
お許し下さい。
今回だけ…
1回だけ…
と、思ったんだけど…
結局、私は全ての教科の答えを
書き写してしまった。
「お前、俺に借りつくったんだからな。
覚えとけよ」
悪魔に心を売り渡した様な心境だった…