ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
そして
期末テストの順位が発表され
私はブービー賞から
見事に順位を上げ
10位になった。
嬉しいけど
素直に喜べない。
当然だよね…ズルしたんだから…
「上杉君…有難う」
「あぁ」
どうしたんだろう…
今日の上杉君は、朝から元気がない。
豪華なお弁当の蓋を開け
ため息ついてる。
「どうしたの?
どっか悪いの?」
始めは口ごもっていた上杉君だったけど
ポツリポツリと話し出す。
昨夜、お母さんと
かなり激しいケンカをしたそうだ。
理由は上杉君の将来のこと
彼のお父さんは県議会議員で
上杉君も後々は
お父さんの後を継いで
政治家になるよう言われたそうだ。
「政治家なんて
俺のガラじゃねぇのにさ
勝手に決めんなって感じだよな…」
「上杉君のこと
期待してるんだよ。
いいお母さんじゃない」
「はぁ?
やっぱ、江川はバカだな。
そんな期待、ありがた迷惑なんだよ」
そんなことないよ…
期待したり、心配してくれる親が居るだけ
上杉君は幸せなのに…
「私も上杉君みたいに
お母さんと将来のこと
話してみたかったな…」
「えっ?なんだよ…それ?」
上杉君になら
話してもいいかな…
そう思った時だった
急に教室がザワめき出す。
「あんた、大原先輩と一緒に居た子だよね」
振り向くと
そこには、入学式に聖斗と話していた
3年女子が立っていた。
「ちょっと、話しがあるんだけど…
一緒に来てくれる?」
腕を組み
私を見下ろす目が怖い。
「あ…は、はい」