ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

真夏の一夜


それからの私と上杉君は
許される限り
一緒に過ごした。


学校ではもちろん
放課後も、休日も…


2人っきりの時の上杉君は
想像以上に優しくて
私の閉じられていた心の扉を
徐々に開いてくれて
穏やかな、暖かい光を
注ぎ入れてくれてるみたいだった。


彼は私にとって
大きな存在になっていった…






あの、屋上でキスした日から
ほぼ毎日
2限目が終わると
私は智可と恵美里に
教室と同じ階にある
視聴覚教室に連れ込まれ
上杉君とのことを、報告させられてた。


「ねぇ、その後
何か進展あったの?」

「上杉君って、エロいでしょ?」


席に座るより早く
2人から矢継ぎ早に質問を浴びせられ
タジタジの私


「まさか…まだキス止まり?」

「えっ…んん…まぁ」


2人は絶句すると
顔を見合わせ
ありえないほどの大声を上げる。


「うっそーーー!!マジ?」

「ちょと、声デカすぎ…
キスだけじゃダメなの?」


すると、恵美里が
真顔で話し出す。


「上杉君ってさー
同学年には正体バレてるから
モテなかったけど
年下や年上にはモテてたんだよねー

結構、付き合った子の数
多かったけど
凄く冷めてて
彼女になった子は泣かされてた…

そのくせ
手は早くて
すぐエッチしてたのに…」


「そうなの?」


「中学の時の友達に教えたら
きっと、皆
ひっくり返るよ。
あの、変人の上杉君が
普通の男になっちゃったんだもん」

「それって、ちょっと失礼だよ…
上杉君は普通の男の子だよ」

「あらあら、ご馳走様。
でもね、美羅は中学の時の彼を知らないから…
そう言えば…
年下の彼女居た時は
酷かったよねー智可」


話をふられた智可の表情が曇る


「う、うん…
あれは…もう、昔のことだから…
美羅が知らなくてもいいよ」


意味深な智可の言葉と態度に
知りたいという気持ちが大きくなる。


「聞きたい。教えて」


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