ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

今も私を見て笑った訳じゃない…
智可たちに向けられた
愛想笑い


玄関を出て
バス停まで2人を送って行く途中
恵美里は聖斗のことばかり聞いてくる。


「ねぇ、美羅って、一人っ子のはずだよねー
あの、ステキメンズ誰よ!!」

「イトコだよ」

「えぇーー!!
あんな男前さんのイトコと一緒に住んでるなんて
聞いてなーい」

「あ、ごめん。
話してなかったね…」


すると、何やら
ブツブツ独り言を言ってた智可が
大声を上げる。


「あぁーー!!
思い出したー!」

「えっ…何を?」

「だから、さっきの美羅のイトコの人だよ。
私、あの人知ってる。
大原…聖斗…君。でしょ?」

「智可…どうして聖斗のこと知ってんの?」


驚いた私は、智可の腕を掴み
引き寄せる。


智可は興奮気味に
目を見開き
話し出した…


智可のお兄さんは、私たちより4つ上
聖斗と同い年
私たちの通っている高校の卒業生で
聖斗とは、同じクラスで
友達だったそうだ…


高校時代はよく
智可の家に遊びに来てて
時々、智可も顔を合わせてた。


そして驚くことに
大学まで同じで
今でもたまに飲みに行ったりしてると…


「美羅の家の表札見た時
『大原』になってたから
どっかで聞いた苗字だなぁって思ってたんだよ。
さっき顔見て
なんかモヤモヤしてたの
やっと、思い出した」

「でも、聖斗は気付いてなかったよね…」

「そりゃぁーそうでしょ。
聖斗君が家に来てたのは
高校生の時だもん。
私は小学生だよー
こんなに綺麗になってたら
分かんないでしょ」

「ははは…」


智可でもそんな冗談言うんだ…


「あっ、確か…
聖斗君、自分の家にも
私と同い年のイトコが居るって言ってたことあったな…
それって、美羅のことだったんだー
凄くない?
この、偶然の繋がり…」


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