ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】
でも…私の願いを
サンタさんは
聴いてはくれなかった…
年末の慌しい中
日曜日の礼拝に
ママたちとよく来ていた教会で
お別れの会が開かれた。
私の家は
クリスチャン…
イエス様の十字架の前に並ぶ
二つの棺
白いバラに埋もれた
パパと、ママ…
聖歌隊の悲しみの歌声が響く中
式は厳かに進んでいく
献花台の後ろで
微笑む二つの笑顔
二度と見ることは叶わない。
「美羅…」
ぼんやりと宙を見つめていた私の手を
強く握り締めてくれたのは
隣に座っていた
5歳年上のイトコの
大原 優斗 (オオハラ ユウト)
伯母さんの息子だ…
「ゆう…と…」
「…叔父さんと叔母さんが居なくたって
俺が美羅の側に居てやるから…」
私は無言で
優斗の顔を見上げた。
「ずっと、うちに居たらいい…
今日から美羅は
俺の妹だ…」
「…妹?」
なぜか、優斗に"妹"と言われたことに
違和感を感じる。
「妹…、イヤか?」
「イヤじゃないけど…でも…」
「でも、何?」
イトコの優斗とは
母親同士が姉妹ということもあり
小さい頃から
よく一緒に遊んだ。
優斗は、とても優しかった。
私の言うことは、なんでも聞いてくれて
いつも私を守ってくれた。
そんな優斗に私は
ほのかな恋心を抱いていたんだ…
「妹じゃなくて…
お嫁さんが…いい」