ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

上杉君と約束した土曜日


お昼に彼の家の近くの
ショッピングセンターで待ち合わせ
食事をして
ゲーセンで遊んで
夕方、いよいよ彼の家に…


夕飯は来る途中で買った
コンビニ弁当
上杉君の部屋で
いつもの様に向き合って食べた。


「風呂、どーする?」

「へっ?お風呂?」


イケナイ想像で頭の中が
パニック状態の私は
"お風呂"と、いう言葉だけで
敏感に反応してしまう。


「お湯、入れてくる」

「う、うん」


上杉君が部屋を出て行くと
一気に力が抜け
絨毯の上に座り込こんでしまった。


でも…
上杉君の家って凄い…
いかにもお金持ちって感じ


この部屋でも10畳はあるよね…
斜めになった天井には天窓
オーディオ類が一杯で
テレビだって、やたらデカい。


親の居ない私とは
住む世界が違いすぎる…


それから私は
これまたビックリの
だだっ広いジャグジー付きのお風呂に入り
上杉君に借りたTシャツを着て
迷子になりかけながらも
なんとか部屋に戻る。


「上杉君の家って凄すぎて
落ち着かないよ…」


2人並んでローソファーに座り
アイスをほおばりながら私が呟くと
彼は面白いと言って
ケラケラ笑う。


「別に誰も居ねぇーし
緊張することねぇのに…」


この大きな家に
上杉君と2人っきり…
それがまた、緊張の一つなんだけど…


暫くはテレビを見ながら過ごした。
時計の針は
後数分で今日の終わりを告げ様としている。


色っぽいムードの欠片も無く
もしかしたら
何も無いのかな…
そう思った時だった…


上杉君がおもむろに
近くにあったルーズリーフに手を伸ばし
何やら書き出す。


そして、それを私に無言で渡してきた。


「……!!」


こ、これって…



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